オオカミ弁護士の餌食になりました
こじつけのようにも思えるけれど、香坂さんが言うとやたらと説得力があった。
弁護士の論説なんて卑怯だと心の中で思う。言い合いをして私が勝てるわけがないのだ。
「分かりました……でも、会社で必要以上に触るのは、やめてください」
動悸を落ち着けるように深く息をして、私は用意していた書類を香坂さんに差し出す。
「仕事は、きちんとやりたいので」
彼は楽しげに目を細めた。
「やっぱり、真凛は芯が通っていて、素敵だね」
「香坂先生。会社では有村と苗字でお呼びください。それから……こちらは基本合意書と提示条件一覧です。要求資料リストの原案を作成しておきましたので、ご確認をお願いします」
仕事モードに切り替えるためにわざと硬い口調を使うと、彼は仕方ないというように私から書類を受け取った。
「わかったよ、有村さん」