オオカミ弁護士の餌食になりました
「そういえば再来週の金曜、例のやつ、行くか?」
空いた皿が片付けられるのを待って、香坂さんは私に目を戻す。
「例のやつ、というと?」
運ばれてきたドルチェに目を向けながら私が答えると、彼はニヤっといたずらっぽく笑った。
「海斗のパーティーだよ」
満面の笑みの兄の顔が急に思い浮かんで、げんなりする。
私はデザートスプーンを手に取って、皿の上のジェラートをすくい上げた。
「絶対に来いって言われているので……」
「だろうね」
兄のシスコンぶりを思い出したのか、くすくす笑いながら、香坂さんは優しげに表情を崩した。
「俺も行くんだ。真凛と会えるのを楽しみにしてるよ」