オオカミ弁護士の餌食になりました
三十階からの景色はうつくしかった。地上に散らばる灯りと、高層ビルの上で呼吸をするように点滅する赤いライト。
気障な男なら、「この景色は全部君のものだよ」くらいのことは言いそうだ。
ちょっとわくわくしながらとなりで同じように景色を眺めている香坂さんをうかがっていると、彼はぽつりと言った。
「きれいだね」
「そうですね」
「君のことだけどね」
「……そっちだったか」
「ん?」
「いえ、なんでもありません」
窓のそばに丸テーブルと椅子が二脚、テレビに向かうようにラブソファが置かれているそこは、都心の一等地ということを考えるととんでもなく贅沢な空間だった。