オオカミ弁護士の餌食になりました

 一泊で何万円するのだろう、と現実的なことを考えながら中央に鎮座するキングサイズのベッドを見やる。

「何か飲む?」

 ソファに腰かけた香坂さんがルームサービスのワインリストを掲げながら言った。

「いえ、さっき十分いただいたので」

「そう」

 テーブルにリストを置くと、彼は背もたれに寄りかかりながら、私においでというように手招きをした。

 ソファにもたれる香坂さんの姿に、昔の姿が重なる。

 うちの居間のソファに座って、兄と真剣に論議していた頃の彼。あのとき爽やかだった香坂さんは、今は妖艶な笑みを浮かべて、誘うように私を見つめている。

「どうする? もう荒療治をはじめる? それとも世間話でもしようか」

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