オオカミ弁護士の餌食になりました

 好きと発音された言葉に、一瞬だけ胸が反応した。

 そういう意味じゃないとわかっているのに、香坂さんの声で言われると勘違いしそうになる。

 頬に触れていた指が、そろりと動いて私の唇をなぞる。

 背筋がびりびりと痺れるような感覚に襲われて、私はとっさに顔を逸らした。その瞬間、彼の声が聞こえた。

「だから君には、男に慣れてもらわないといけないんだ」

 その言葉は、どういうわけかぐさりと胸に刺さった。

 行間に読み取れた言葉を、私の脳が勝手に再生する。

 ――海斗に結婚をしてもらいたいから、真凛の恐怖症を治さなければならない。

「そう、ですね」

 胸の中が急に冷たい水で満たされたようで、自分で戸惑う。




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