オオカミ弁護士の餌食になりました
感情の起伏が激しい兄のことだから、きっとそのときも泥酔して泣いて香坂さんに迷惑をかけたにちがいない。
「それで、兄が香坂さんに頼んだんですね? 私の恐怖症を治してほしいって」
きっと兄の周りにいる男性で、香坂さんがいちばん適任だったのだ。私との面識もあり、家族のように食卓を囲んだ経験があり、ある程度触れることができる異性。
涼やかな瞳をじっと見る。彼はしばらく私を見つめ返し、ふわりと微笑んだ。
「逆だよ」
ゆっくり伸ばされた手が、私の頬に触れる。
「俺が願い出たんだよ」
「え……?」
「俺は君たち兄妹が好きだからね。ふたりに幸せになってもらいたいんだ」