結婚のその先に
「ちょっとのぞいていこうか。」
啓吾が言ったのはジュエリーショップ。

「うん。」
栞菜は啓吾に黙ってついていった。

啓吾はショーケースの中の指輪を目の前にして黙りこむ栞菜に不安を覚えて栞菜の手を握った。

ちらりと啓吾を見る栞菜。

「どんなデザインが好き?色とか形とか。」
「うーん」
「俺はゴールドよりもシルバーかなぁ。栞菜の指にはピンクゴールド似合いそうだけど。」
なにも言わない栞菜に啓吾は焦りを感じた。

気持ちが離れていっていると。

それでいいのかもしれないと頭では思うのに心が焦る。

本当は誰にも渡したくない。

その指に指輪をはめるのも、栞菜の過去も今も未来も全部がほしい。
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