結婚のその先に
啓吾は店員に声をかけてあれこれと試しに指輪を出してもらった。

それでも栞菜は寂しそうな顔のままなにも言わなかった。


栞菜は言えなかった。何も。

同じ指輪を啓吾と試着する。お揃いの指輪をはめた啓吾を見てそのまますべてを自分に縛りつけてしまいたいという欲があふれでてくる。。でもおそろいの指輪が啓吾をもっと縛ってとどめてしまう。人生奪ってしまう。そんな想いがした。


ふたりの間にまた微妙な隙間を残したまま二人はホテルに戻った。
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