結婚のその先に

さよならの準備

啓吾の好物を作りテーブルに並べる。
「なんでひとり分?」
啓吾がキッチンに立つ栞菜を後ろから抱き締める。
「さっき食べてきちゃったんです。ごめんなさい。」
嘘…。本当は食欲がわかない。食べても吐いてしまうかもしれない。
「本当か?」
「うん」
嘘がばれないように栞菜は料理をする手を止めない。


「俺、こんなに食べられないぞ?」
啓吾はテーブルいっぱいに並ぶ自分の好物に驚く。

「久しぶりだから。いっぱい食べて欲しくて。」
本当は別の想いで栞菜は啓吾の好物を並べた。
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