結婚のその先に
「ごめんなさい…」
そう告げると啓吾は栞菜の涙を拭いながら
「愛してる。」
と耳元で囁いた。
そして啓吾は栞菜に1枚の紙を渡す。


赤ちゃん…
検査もせず病院にも行っていなかった栞菜は啓吾からはじめてエコー写真を預かりその姿を見た。


「俺たちの赤ちゃん。頑張ってるよ。こんなに小さいのに。」
「…うん。」
「栞菜も頑張ろうな。」
だるい体には点滴や機械の管がたくさん繋がれている。
啓吾は栞菜の頭をなでながら眠りにつく姿を見ていた。
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