SKETCH BOOK
「桜田梓です。よろしく」
「……ああ」
不機嫌そうな顔をして頷く橙輝。
あたしはそんな橙輝を見て思わず声をあげた。
「あっ!スケッチブック!」
あたしは二階の自分の部屋まで行くと、
カバンの中に入っていた
スケッチブックを取り出して、
リビングに戻った。
「これ、あなたのでしょう?」
あたしがそっと差し出すと、
驚いたような顔をして乱暴に受け取った。
「なんでお前がこれを……」
「拾ったのよ。落ちていたから」
「中見たのか?」
「う、ううん。見てないよ」
「……そうか」
橙輝は小さく呟いて、
ソファから立ち上がった。
そうしてリビングを出て行くと、
二階へと上がっていってしまった。
「ごめんな、あいつ、難しい年ごろでさ」
「あら、梓だって同じようなものよ」
パパとお母さんが二人、
顔を見合わせて笑う。
全く。
新婚早々と言うかなんと言うか……。
いや、まだ結婚はしていないんだけれど。