SKETCH BOOK



「ねえ橙輝!見て!こここんなに綺麗だよ」


「お前、あんまりはしゃぐとあぶねぇぞ」


「大丈夫だよ!ほら、早く……」


橙輝がそう言ったのも束の間、
あたしは躓いて転びそうになった。


「あぶなっ!」


ぐいっと引っ張られたかと思ったら、
そのままドンっと倒れ込んでしまった。


でも、倒れた割には痛くない。


目を開けると、あたしは
橙輝の上に倒れ込んでいた。


ふいに目と目が合う。


押し倒す形になっている状態で顔が近い。


ドクンと心臓が跳ねるのが分かった。


目がとっても綺麗。


透き通るような眸は気怠そうに開けられていて、
口が少しだけ開いている。


それがとても妖艶で、
つい見とれてしまう。


橙輝はあたしを避けることなく
寝転がっていた。


「あ、ごめっ……」


慌てて体を起こそうとした時、
橙輝があたしの腕を掴んだ。


そのまま動けなくなる。


ドクドクと心臓が高鳴って聞こえた。


やばい。


バレてしまう。


早く離れなきゃいけないのに、
橙輝が許してくれない。


「だい……き?」


「……梓」


名前を呼ばれた。


橙輝があたしを梓と呼んだのは二回目だ。


自分の名前なのに擽ったい。


橙輝の目が一瞬細くなったかと思ったら、
ぱっと手が離された。


「気を付けないと危ないぞ」


「う、うん」




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