SKETCH BOOK
橙輝は何事もなかったかのように起き上がると、
砂埃をはらって大きく伸びをした。
今のは何だったんだろう。
気にし過ぎかな。
とにかくあたしは気を付けないと。
大きな怪我がなくて良かった。
見たところ橙輝にも怪我はなさそう。
びっくりした。
危ない、危ない。
「そろそろ帰るか」
「うん」
気付けば夕方になっていた。
あたしも砂埃をはらって顔をあげた。
夕日が綺麗。
ひまわりと合っていて、
なんだか帰りたくないと思った。
勿体ないな。
こんないい景色があるのに。
「ねえ」
ちょっとくらい、いいかな。
「ん?」
「あのさ」
少しの我儘、言ってもいいよね。
「写真、撮らない?」
「写真?」
記念に残したいと思った。
せっかく連れて来てもらったんだし、
ひと夏の思い出にしたい。
ダメもとで橙輝にそう頼んでみることにした。
ダメって言うかな?
きっと言うよね。
こんなこと聞かなきゃよかったかな。
これじゃああたしが惨めになるだけ……。
「いいよ」
「え?」
「撮るんだろ?ほら早く」
「い、いいの?」
「お前が撮りたいって言ったんだろ」
「そ、そうだけど」
「ほら、早くしろよ」
嬉しい。
まさか一緒に撮ってくれるなんて。
嬉しくて舞い上がりそう。
すぐに橙輝の隣に移動すると、
橙輝はケータイを構えた。