イジワルな彼は私を溺愛しています
「親父、こいつ中島家御曹司だよな」

兄がスマホの中の和海を指しながら言った。

「中島家御曹司??」

和海が御曹司?

「聞いたことないか?中島家、主に食品を取り扱っている大手企業だ」

「和海がそこの御曹司だっていうの?」

「そういうことだな」

父は私に身振りで食べろといってきた。

私は食べながら、なおも聞いた。

「それで、お見合いはするの?」

母が言った。

「ああ。まあ一応形だけでもしておくべきだ。二人はどこまでいった」

父が聞いてきた。

「どこまで?」

「キスまでか?」

私はカアっと顔が赤くなるのが分かった。

その顔で分かったのか

「最後までしたのか」

と父が聞いてきた。

コクコクとうなずく。

「まあいいか。有紀、今日から18日の見合いまでに礼儀作法を覚えとくんだぞ」

「分かった」

私はまだ赤い顔を隠すようにうなずいた。

「それと、有紀携帯を出せ」

「分かった」

私は小さなポシェットに入れておいたスマホを父に渡した。
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