ツンデレ黒王子のわんこ姫
「あなた!起きてください。芽以が、芽以が,,,」

白木家の穏やかなはずの朝が、芽以の母、七恵の叫び声で一変した。

「落ち着きなさい。七恵、芽以がどうかしたのか?」

「書き置きを残していなくなった,,,」

「奥様!」

倒れ込む七恵を執事の真田が支える。

芽以の部屋にあった置き手紙には

"健琉さんと別れるつもりはありません。桃山家とのお話はお父様自身で解決下さい。私は結婚式の当日まで帰りません。探さないで下さい"

と書かれていた。

「あなた、桃山家との話って,,,」

「真田!芽以が行きそうなところに宛はないのか!」

「庸子のところにも連絡は来てないようです。まだ出社すらしていないと」

苦痛に満ちた表情で告げる真田。忠実な臣下である真田にとっても、芽以は実の娘・庸子と同様に大切な存在だった。

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