甘い運命

1-28


映画館に着く頃には、雨がポツポツと降り始めていた。

傘、持ってないけど、いいか。
帰りにコンビニで買おう。

そんなことを思いながら、お目当てのアクションものの映画を観た。

──うん、面白かった!いい気分転換になったかも。
私はホクホクしながら、時計を見た。
現在、21:40過ぎ。

さっき映画観ながらポップコーンを食べたし、晩御飯はコンビニで買おう。

そんなことを思いながら、外を見る。
─ああ、やっぱり、結構降ってる。

確か駅寄りにコンビニがあった。
そこまで走ろう。

私は意を決して、歩道に飛び出した。

雨に濡れつつ数メートル走って、私は何か違和感のようなものに引っ掛かり、大通りを挟んで向かいの高級ホテルの方を見た。

そして、驚きに足を止める。

ホテルのエントランスから出てきたのは。
──修一さんと、槙原さん、だった。


楽しそうに笑い合いながら、槙原さんは修一さんの差した傘に入って、修一さんと腕を組んだ。

そのまま、駅の方に向かって歩いていく。

雨の中、私は濡れているのも忘れて、呆然とその姿を見送った───
< 28 / 73 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop