甘い運命

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私の目から、ぽろぽろと涙が溢れた。
暖かく優しい涙で、頬が濡れる。

──もういいや。降参だ。

これから、修一さんが変わってしまっても。
気持ちが冷めてしまっても、裏切られたとしても。

それはもう、仕方のないことだ。

未来なんか、誰にもわからない。

私にできることは、精一杯修一さんを大切にして、愛することだけだ。

流れる涙を親指で払って、優しく微笑みながら、修一さんは私を見つめている。

泣きながら一生懸命微笑むと、修一さんが私の髪を撫でながら言った。

「都、可愛い。

──これから、嬉しくても悲しくても悔しくても、俺の前では我慢しないで泣いていいから。

むしろ、俺の前でだけ泣いて。

都の笑顔は、周りにいる皆のもので仕方ないけど、泣き顔は俺だけのものにしたい。

都が感じることも考えることも、全部知っていたい。

ずっと側で、笑ったり泣いたり怒ったりしてて。」


──ああ、もう。完敗だ。

私はもう、頷くことしかできない。

泣きすぎて、干からびそうだ。
でも、涙を流した分だけ、幸福感で身体が満たされる。
修一さんの胸にしがみつきながら、これからのことに思いを馳せていると、ふと大事なことを思い出した。

「あーっ!!」

「何っ?!どうした都!!」

「今度の水曜日のアポ、引き継ぎなんです!
色々仕事に支障出ちゃってたから、羽田課長と相談して、担当を変わることにしてたんです!」

「…えー………。都と会える時間が少なくなるのか……。」

「でっでも、むしろ良かったんじゃないですかね?!
違う会社の担当者同士が付き合うとか、ちょっと問題かもしれないですよね?」

その場の思い付きでフォローした私に、修一さんはニヤリと笑う。

「そっか、担当外れるからこそ大っぴらにできるな!」

──えーと。嫌な予感しかしませんが……。






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