毒林檎がなくても
「お母さまはね、本当にお美しくてとても聡明で、女だてらに政治に携われる才をお持ちなのよ」


お妃さまは大変有名な才女でした。


この国では伝統で、要職には男しか就けません。

でも、その伝統をもってしても、もしお妃さまが男に生まれていたら、宰相に登りつめるだろうと言われるほどの才覚を持っていました。


容姿は氷のように鋭く美しく、先を見通し、わがままなまでの指示で救われた者は数えきれず、女は憧れ、男は恋をする——そう謳われる、国一番の才女だったのです。


ですから、お妃さまに白雪姫が憧れるのも、至極当然のことでした。


…………えっなんかめっちゃ褒められてない? 大丈夫? えっ???


夢見るようなまなざしの白雪姫に、お妃さまは大変混乱していました。


お妃さまは確かに大変賢く美しい方ですが、慕われている自覚がありませんでした。

自分はわがままを通しているだけだから、きっと嫌われているに違いないと思っていたのです。
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