毒林檎がなくても
「とてもよく通るお声でね、いつもはきはきと快活にお話しなさるの。それはそれは威厳がおありで格好良いのよ」


意地悪してるだけなんだけど……。


えええ、と内心引き気味なお妃さまに構わずに、白雪姫はなおも熱く語ります。


「わたし、あんなに紫がお似合いの方を他に知らないわ。紫って高貴で妖艶な色でしょう。スタイルがよくて、そのうえ上品な色気がないと途端に野暮ったくなるのよ。服を着るのではなくて服に着られるの。でもお母さまは、本当に素敵に着こなしていらっしゃるの。たとえわたしが着てもあんなに素敵に見えないと思うわ。本当にお似合いなのよ」


拳を握って熱く語る白雪姫に、お妃さまはそれはもうびっくりして、思わず聞いていました。


「おまえは、その母親を恨んでいないのかい……?」


しゃがれた猫なで声にするのも、お嬢さんと言うのも忘れるほどでした。


まあ、嫌だわおばあさん、と白雪姫は心底おかしそうに驚いて、ころころ鈴のように笑いました。


「あんなに素敵なところしか見つからない方をつかまえて、尊敬と憧れ以外の他に何を抱けばいいのかしら!」


もう、おばあさんったらおかしなことをおっしゃるのね、とやっぱりおかしそうに笑っています。
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