曇り、ときどき雨。君に、いつでも恋。



「俺、


佐藤さんがバイトに入ってきたとき、

一目で自分の出身高校の生徒だってわかって

バイト原則禁止なのに、
校則破ってまで小遣いほしいのか、って思ったけど



佐藤さんのこと見てるうちに、

なんか事情があるんだろう、って思うようになった。


佐藤さん、俺が今まで見た高校生で1番働いてたから。」



今井さんは、いったんそこで区切った。


そんな風に、思っててくれたんだ。


でも、
それならどうして、

あんなにあたしばっかり注意してたんだろう。



「俺がいくら色々文句つけても、

へこたれないし、
俺に反抗するわけでもない。


言われたことをいつも改善しようとしてた。


それに、家のために頑張ってんだろうな、
っていうのは薄々気づいてて。


あー、俺、こんなんじゃだめだわって佐藤さん見て思った。すごく。



俺の家は、

親父が会社の社長やってて、
俺が長男だから、継げって言われてて。


俺は教師になりたかったけど、

親父の会社を継げば教師になるよりよっぽど苦労が少ないわけで。


めんどくさいし、それでいいやって思ってた。


でも、
外の世界を知っときたいと思ったからあのレストランでバイトはしてたけど。


それで、勝手に親父に、取引先の会社の社長の娘さんとの結婚も決められて。

それには正直、抵抗あったけどもう面倒だったからそれでいいや、って思ってた。

でも、」



ちょ、ちょっと待って。
頭がついていかない。

思いもよらない言葉がどんどん今井さんの口から出てきて。


あたしのことそういう風に見てたんだ、とか、



・・・結婚の、こととか。

それって、
それって、
もしかして、
アシダさんの、ことですか?



それなら、
アシダさんのこと好きだったわけじゃないってことですか?


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