曇り、ときどき雨。君に、いつでも恋。
ひゅーーー、
ばーーーーん。
ひゅーー、
ばーーーーん。
打ち上げ花火が始まった。
とても綺麗で、
アイちゃんとあたしは無言で花火を見ていた。
大きな花火が1つずつうち上がったり、
小さな花火がバンバンと激しくたくさん打ち上がったり。
夜空に鮮やかな色が映える。
打ち上げ花火を見るのは久しぶりで、また来たいと思った。
・・・アイちゃんに、聞くなら今だ。
「アイちゃん。」
「ん?」
打ち上げ花火から目を反らさずにアイちゃんが返事をした。
「恋って、さ、どんな感じ?」
ひゅーー。
どどーーーん。
ひゅーー。
どどーーーーん。
「え、急にどうした!?好きな人でもできた!?」
アイちゃんがばっと振り返って、
興味津々な顔であたしを見た。
「ち、違うんだけど、
その、どんな感じかなって」
「なんだぁ。まあいいや。
うーん、
そうだなあ、
言葉で表すのは難しいところもあるけど、
それに、片思いしてるときと付き合ってからでは違うと思うんだけど、
共通なのは、
その人といると楽しかったり落ち着いたりするかな。
あと、その人が他の女の子と楽しそうに話してるとちょっとヤキモチ妬いたり、する。
その人のことをもっと知りたいとか、触れたいとか思う。
話してるときとか、すごくドキドキする。
好きだなあって思いながら。
それに、ふとしたときにその人のことを考えちゃってたりする。
片思いのときに多いのは、
その人から話しかけられたり連絡来たりするだけですごく嬉しかったり。
付き合うと、どんどん欲が出てくるかな。
もっともっとって。
って、すごく恥ずかしいんだけど!!コハル!!」
アイちゃんはあたしに抱きついてあたしの胸に顔をうずめてきた。
そう、かあ。
もっと触れたい、かあ。
ヤキモチ、か。
「好きな人と付き合ったら、さ、デートの時とか
緊張しすぎてその場から逃げたくなったり、する?」
「緊張はするけど、逃げたくなったりは、ない。」
「・・・そっか。
友達としては好きだけど恋愛感情がない人と付き合ったら、その人のことだんだん好きになれるもの?」
「えー、それはどうだろう?
人によるんじゃん?
好きな人とじゃないと無理って人もいると思うし、
だんだん好きになるケースもあると思う。
まあでも、あたしは、好きじゃないなら付き合わない方があとあといいんじゃないかなって思うけど・・・
だって、
好きになれなかったときどうすんの?って感じだし。
1年くらい付き合ってから、
好きになれませんでした、ゴメンナサイ。
って言われたらショックで立ち直れなくない?
って、
質問がやけに具体的すぎない??
なんかあった??」
「い、いや、ないよ。
前から疑問に思ってたこと、だから。」
アイちゃんがギロッとあたしを見た。
「ふーーーん。怪しい。」
「いや、ほんとだからほんと!!!」
中島くんと付き合ってるなんて、口が裂けても言えない。
「へぇ。まあいいや。
でさ、田代くんがねっ」
ふぅ。良かった。話題がうつった。
うん。決めた。
来週の月曜日、中島くんと会って、話そう。
正直に、友達としか見れないって言って謝ろう。
早い方が、いい。
告白を断らなかった時点で最低だけど、これ以上伸ばすのもダメだ。