曇り、ときどき雨。君に、いつでも恋。
その日の放課後、中島くんに呼び出された。
「ごめん、
俺、佐藤さんに振り向いてほしくて必死すぎた。
佐藤さんに迷惑かけるかもとか、考えてなかった。
今さら遅いけど、ほんとごめん。」
中島くんは、頭を下げた。
それなら仕方ない、か。
すごく嫌だったけど、
あたしも中島くんにひどいことしたし、
おあいこみたいな。
「うん。」
好きな人いるの、って言った方が、いい?
期待を持たせないように、言った方が、いい?
「俺、自分で思ってたより
佐藤さんのこと好きみたいで。
諦められる気、しないんだよね。
俺のこと、ゆっくりでいいから、
もう一度、考えてみてほしい。」
あたしに発せられたまっすぐな告白の言葉が、
あたしの心を揺らす。
中島くんのこと、好きになれそうにない。
そんなことわかってるけど、
このまま今井さんに、いくら恋したって
傷つくだけで叶わないわけで。
中島くんの好意に、甘えたくなる弱い自分がいる。
あたしを好きって言ってくれる人が、ここにいる。
優しくて、まっすぐな人。
きっと、あたしを幸せにしてくれるんだと思う。
中島くんのことを好きになれたらどれだけ楽だろう。
今井さんを諦められたら、どんなに楽だろう。
でもやっぱり、ダメなの。
中島くんじゃ、ダメなの。
好きになれない。
また、傷つけてしまう。
この前は、あたしの浅はかな気持ちで。
今度は、あたしの弱さで。
中島くんに甘えちゃ、ダメだ。
中島くんを逃げ道にしたら、ダメ。
「ごめんね、あたしの答えは変わらない。
それにあたし、好きな人、できちゃったから。
ごめんね。たくさん傷つけて、ごめん。」
中島くんは、驚いたようにあたしを見た。