曇り、ときどき雨。君に、いつでも恋。



その日の放課後、中島くんに呼び出された。


「ごめん、
俺、佐藤さんに振り向いてほしくて必死すぎた。


佐藤さんに迷惑かけるかもとか、考えてなかった。

今さら遅いけど、ほんとごめん。」


中島くんは、頭を下げた。


それなら仕方ない、か。
すごく嫌だったけど、

あたしも中島くんにひどいことしたし、
おあいこみたいな。


「うん。」

好きな人いるの、って言った方が、いい?

期待を持たせないように、言った方が、いい?


「俺、自分で思ってたより
佐藤さんのこと好きみたいで。


諦められる気、しないんだよね。

俺のこと、ゆっくりでいいから、
もう一度、考えてみてほしい。」


あたしに発せられたまっすぐな告白の言葉が、
あたしの心を揺らす。
 



中島くんのこと、好きになれそうにない。

そんなことわかってるけど、
このまま今井さんに、いくら恋したって
傷つくだけで叶わないわけで。

中島くんの好意に、甘えたくなる弱い自分がいる。




あたしを好きって言ってくれる人が、ここにいる。
優しくて、まっすぐな人。
きっと、あたしを幸せにしてくれるんだと思う。


中島くんのことを好きになれたらどれだけ楽だろう。
今井さんを諦められたら、どんなに楽だろう。



でもやっぱり、ダメなの。

中島くんじゃ、ダメなの。

好きになれない。

また、傷つけてしまう。

この前は、あたしの浅はかな気持ちで。

今度は、あたしの弱さで。


中島くんに甘えちゃ、ダメだ。
中島くんを逃げ道にしたら、ダメ。



「ごめんね、あたしの答えは変わらない。


それにあたし、好きな人、できちゃったから。

ごめんね。たくさん傷つけて、ごめん。」


中島くんは、驚いたようにあたしを見た。


< 67 / 116 >

この作品をシェア

pagetop