曇り、ときどき雨。君に、いつでも恋。



「好きな人って、誰なのか、聞いてもいい?」


遠慮がちに、中島くんが言った。


「中島くんの、知らない人だよ。


この学校の生徒でも、ない。」



「・・・へえ。


それ、叶いそうなの?


佐藤さん今、すげー辛そうに見えるんだけど。」



図星。

あたし、
そんな顔にでてる?


「よくわかった、ね。


うん、

叶わない、よ。」


そう。叶わない。

この恋は、決して叶わない。



「じゃあ俺にも、チャンスある?



ってか、俺にしとけよ。


俺にしとけば、いいのに。


絶対に幸せにしてやる、なんて偉そうなことは言えない。

でも、そいつのこと好きでいるよりは
佐藤さんのこと幸せにできる自信、あるから。」


中島くんは、辛そうだった。
多分、あたしと同じくらい。


「ごめん。

無理ってわかってても、好きな気持ちは消えなくて。


その人しか、見れないの。」


ほんとに、ごめん。

あたしも、
好きになれるもんなら中島くんを好きになりたい。
中島くんと付き合いたいよ。


そしたら、全部きれいに解決するもん。
丸く収まって、みんな幸せ。



誰も嫌な思いをしない、

最善の選択。





でも、できない。

できないんだよ。



また、無理って思っちゃうと思う。

中島くんとは、付き合えないって。

ちゃんと好きになった人としか付き合えないって。

また、同じことを繰り返すと思うから。


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