男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「絶対に見つけなきゃ……」


びしょ濡れのドレスはさらに水を吸っていき、ミシェルは寒さに震える中、髪飾りを探した。
 
腰を折って手を川底に走らせた時、石とは違う感触が指先に触れた。


「あった……?」
 

ミシェルはそれを強く掴んで川から出した。手に持っていたのはクロードがくれた髪飾りだった。


「よかった……」
 

美しく光る髪飾りを胸のところで落とさないようにギュッと握り、川から出ようとした時だった。


「ミシェル!? なにをしているんだ!!」
 

驚いたような、それでいて叱りつけるような声色に、ミシェルはビクッと大きく身体を震わせた。
 
顔を上げた少し先に黒馬に騎乗したクロードがいた。

ミシェルの心臓が止まりそうなくらいに音をたてた。急いで出ようと歩く足が川底で滑った。転ばないように手が宙を舞った。

その拍子に持っていた髪飾りが手から離れて川へ落下した。


「ああっ!」
 

ミシェルはその場にしゃがんで川に手を入れた。


「なにをしている!? やめて早く出てくるんだ!」

「ダメです!」
 

ミシェルは必死に川底に手を動かした。
 
クロードが気になって仕方ないが、髪飾りを見つけなければならない必死の思いがあった。

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