優しい音を奏でて…


「奏、どうした?」

「何でもないよ。」

ゆうくんが、私を見つめて微笑んでいる。

「ゆうくん、あのね、今度、聞いて欲しい事が
あるの。」

葵ちゃんに言われた通り、ゆうくんに話してみよう。

「ん? 何?」

「今日は遅いし、また今度でいいから。」

「ん? よく分かんないけど、分かった。
じゃあ、初詣で行こうよ。」

「うん! 行きたい!」

「いっそ、一緒に年越しする?
晩飯、食べて、テレビの年末特番見ながら
ちょっと飲んで、年が明けたら深夜に初詣で。」

「うん、いいよ。
楽しみ。」

何だろう?
とっても嬉しい。


グラスが空になると、

「そろそろ帰ろうか?」

とゆうくんが言った。


私が控え室からドレスを取ってくると、ゆうくんは左手で私からドレスを取り、右手を腰に回してきた。

っ!?

密着具合が、半端じゃない。

でも………

ウォッカベースのモスコミュールの酔いが心地よく回ってたせいか、ゆうくんの手も心地よくて、そのままくっついて家に帰った。


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