ライアー
詩乃side


一度会ってしまうと次までの期間約二か月。

別にそうする必要はないんだけれど、半ば私の意地でもある。


侑に依存してないことの証明。


「高木詩乃。お前コピー部数間違ってたぞ。」

分厚いプリントの束で私の頭をぺちぺち叩いてきたのは同僚。

プライドが高くて、高慢な私には学生の頃からずっと女友達ってのがずっといない。

だからって男から好かれるわけでもない。男女ともに敬遠されるタイプの人間だ。

自分のこんな性格は重々承知しているのに変えることはそう簡単ではない。



この男は私が自分に気があると勘違いしている。

彼女がいるくせに、どうでもいいことでしょっちゅう絡んでくる。


妙にきれいに整えられた眉とどれほどの時間がかけられてるかあきれるほど完璧にセットされた髪型。
確かに凛々しい目元はなかなかだ思うけど、完全に雰囲気イケメン。
低くて丸い鼻に分厚い唇。油ギッシュなオイリー肌。見れば見るほど粗が見えてくる。



雰囲気だけは一丁前なものを醸し出しているからか、割と社内の評価は高い。
やさしさの中に時々意地悪さが見えるその性格はまさに少女漫画の中から抜け出たようで、
一挙手一投足、女の喜ぶことを狙っているような言動が気持ち悪い。
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