ライアー
「高木さん、注文書2000個になってますよ。いいんですか?」


「高木、お前の報告書誤字脱字のオンパレードだったぞ。明日までやり直せ。」


「高木さん、ここに添付する資料あります?
今日まで準備するって言ってたやつです。」



ツイてない日ってトコトンそうみたい。
もう嫌になる。
侑が同じ会社だったら、煩わしそうな顔しながらも手伝ってくれたりするのかな…


いや、あいつはそんな甘くない。馬鹿にしたように冷たく笑って定時で帰ってくんだろうな。

想像したら、本当にありえそうで笑えてきた。
自分の仕事はやったんで、とかいうタイプだな。



楽しそうなこと考えてみたけど、確実に今日は残業コースで、とりあえず日付の変わる前に帰れることを祈って、パソコンに向かい合う。






凝り固まった肩をほぐしながら時計を見ると、まぁ5時。
大して集中力のない自分に苦笑する。

まだまだプリントの山は多いのに、凝り性なせいか、だいぶ時間がかかっちゃってる。


飲み物でも買いに行こうかと思って、自販機に向かっていると、向かいから受付の女の子たちが歩いてきた。
ゆるく巻かれたツヤツヤの髪に、派手すぎずだけど抜かりのないメイク、おまけに控え目に彩られた爪。


雰囲気から何から男が好きそうな、守ってあげたい系女子。


まるで自分とは違う全てに妬みを感じる。



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