ライアー
確かに言葉巧みだけど、明らかに営業トークって分かりやすいほどの褒め言葉だし、誰にでも言ってるんだろうなって言う定型文感も否めない。


男を見る目がないというか、単純馬鹿というか
よりによって面倒くさそうな奴を好きになったもんだな。


こういう一見優男のやつほどやべーってことが分かってないのか。

誰でもに優しい割に本命はしっかりいるって相場が決まってる。


まあ、そんなの別にどーでもいいけど。


仕事モードに頭を切り替えて話を戻した。




「部長、先ほどの営業の件ですが」

会議から帰ってきて席に着いたばかりの部長に一寸の休みすら与えず話を吹っ掛けたのは、悪いと思ったけど、そんなにらんでくることねえだろ。


まだ、自分の仕事の半分もおわってねーんだよって心ン中で言い訳して、部長のにらみ顔をあえてスルーした。




「なんだよ。おまえはどう思う?」


「相手方は特段の伸びはありませんが落ち込みもなく安定していると思われるので、問題ないと思いました。




ただ、あの営業の男は要注意です。かなりきれる男です。頭の回転も速いし、話術もある。隙あらば話の主導権をとってこようとして、またそれがナチュラルだから厄介で」



「わかった、わかった。お前あれだろ。あの営業がうちに出入りするようになると、お前の取り巻きみたいな女たちを奪われるとか思ってんだろ」
< 20 / 27 >

この作品をシェア

pagetop