【続】0.0000034%の奇跡



「槙田先生っ、この前のテレビ収録どうでした?」




ランチを一緒に食べながらキラキラした目でカナちゃんが聞いてきたから飲んでいたお水を吹き出しそうになった。




「どんな芸能人と共演したんですか!?」




ゴシップ好きなカナちゃんは芸能関係の話題が大好きだ。
大御所芸能人の名を出すと目を丸くして羨ましがってくれる。




「後は?若い人は居なかったんですか?」




「あぁ……」




また脳裏にアイツが浮かぶ。
最も苦手な芸能人No.1な奴。
「その顔は居たんですね?誰ですか?」と興奮気味なカナちゃん。
あの消し去りたい記憶が蘇る。
ダメだダメだと掻き消して誤魔化そうとしたのに。



「え、そのテンションの下がり具合は…まさか彼ですか?」




時々カナちゃんは勘が鋭い。
そしてそんなカナちゃんに対して私は誤魔化しきれない。
すぐ顔に出てしまう。
まだ粘ろうとしたけど「ビンゴですね」と言われ諦める。




「共演はしてないんだけど…同じテレビ局に居たんだよね」







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