シェヘラザード、静かにお休み
翌朝、マリアの作った朝食を取って、ルイスは行く支度を始めた。
「帰る日には連絡をくださいね」
「ああ、シーラのこと……少し太らせてください。マリアさんそういうの得意でしょう」
「承知しました。私くらいにしておけば良いんですね」
「違う」
城の寮にいた時よりも少ない荷物をまとめる。それから、家の中をぐるぐると歩き回っているシーラを捕まえた。
ちょっと来てくれ、とルイスに言われて、ついていく。
そこは裏玄関だった。
「なあに?」
秘密の扉でも開けるのかとわくわくしてたシーラが、がっかりしたように壁に寄りかかる。