シェヘラザード、静かにお休み

そよそよと風が吹く。暑い季節になったものの、自然の中では別だった。

川が近くにあればさらに涼しく、ルイスは川に沿って走っていた。

雨が降らないことを祈るばかりである。

「降りそうねえ」

そんな気も知らずに、シーラは空を見上げて呟いた。それはルイスにきちんと届いた。

土を踏む音がして、二人がそちらを見る。アメリアとイーサンが連れ立っていた。

「ごめんなさい、もう大丈夫です」

青い顔をしてアメリアは言う。
シーラは小さく肩を竦め、立ち上がる。

どこか遠くで、雷が鳴った。


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