シェヘラザード、静かにお休み
シーラは頬杖をついてその表情を見る。
「それで、貴方は王女様と仲良く和平を結んでくれる気になったのかしら」
「君が提示した、『貿易関係で王女の顔が使える』『煩い古参衆を黙らせることができる』ことは、問題にすらしていない」
背もたれに背を預けて、余裕をもって答えるオリバー。時間が無くなっていくについて、シーラの神経が尖っていくように見えた。
元々、勝ち目はないのだ。
ある一点を除いて。
「貿易関係は、新しいルートを作るつもりでいる。王族の顔なんて最初から当てにしていない」
「今だって貴族たちが喚いているわよ」
シーラはオリバーの後ろにある窓を指さした。