ドクター時任は恋愛中毒


クリニックの扉をゆっくり開けておそるおそる顔を出すと、なんとなくわかっていたけど類さんはまだ同じ場所にいた。

私の姿に気付いた彼は何とも言えない頼りない表情になり、それから眉間に皺を寄せて近づいてくる。

私も彼のもとへ歩み寄り、歩道の真ん中で向き合った。


「……すまん、真帆。俺なりに色々考えたが、お前が何に怒っているのかわからないんだ」


申し訳なさそうに目を伏せる彼に、さっき感じた苛立ちはどこかへ消えていった。

類さんは、こんなにも私を想ってくれているじゃない。わからないところは、ちゃんと私が教えてあげればいいだけのこと。

好きな人と付き合うって、そうしてお互いの足りない部分を補いあって、支え合って生きて行くことだよね。


「いいんです。私も、意地になってごめんなさい。それより、類さんに伝えたいことがあります」

「なんだろうか」


真剣なまなざしが、私をまっすぐに射る。この人は、こちらの気持ちを察するのは苦手だけど、自分の気持ちには正直だな、と思う。

私を見つめる瞳はいつだって情熱的だし、選ぶ言葉は個性的だけど、恥ずかしいセリフばかり言ってくるし。

嫉妬や独占欲だってまったく隠さず、航河さんにも敵対心むき出し。

……そんなあなたが愛しくてたまらないから、私から言わせてね。


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