ドクター時任は恋愛中毒


「………………は?」


眉根を中央にぐっと寄せ、あんぐりと口を開けて固まる水越。この単純明快な論理がわからないとは、よっぽど疲れているとみえる。


「だから、俺が千緒の面倒を見れば、お前はその間眠れるだろうと言っている」

「いや……もう、どこから突っ込んだらいいのか……。まさか今夜、うちに泊まるつもりなんですか?」


頭痛を堪えるように額に手を当て、水越が尋ねてくる。


「そうだ。迷惑かもしれんが、お前にはただちに休息が必要だ。今夜の育児は、ドクターストップ、ということになる」

「そんな勝手な!」

「そうと決まれば、必要な物を買いにちょっと外出してくる」

「何も決まってないですって! ちょっと、時任先せ――――」


水越が何やら喚いていたが、俺はすでに買ってくるものを頭の中にピックアップする作業に入っていてよく聞こえず、そのまま一旦彼女の部屋を後にした。


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