ドクター時任は恋愛中毒


「こないだ、というか一昨日? 時任先生がセクハラしてた子、栄養部の名札付けてたような……」


そこまでは勝手に言わせておいたが、“セクハラ”発言だけは聞き捨てならず、俺はつい口を挟んだ。


「おい、俺がいつセクハラを働いたというんだ」

「だから、一昨日ですって。ここに若い女の子が来て、先生肩揉んでたじゃないですか。あれが水越さんですよね?」


一昨日、若い女、肩揉み……ああ……まぁ確かに。


「……ああ、それは事実だが。一体どこがセクハラなんだ」

「いや、水越さん、めっちゃ真っ赤になって恥ずかしそうだったから。まぁでも、弁当作ってもらえる仲なら、セクハラではない……のか?」


そういえば、あの時の水越は少し様子が変だったな。真っ赤になって、しかも頻脈で……。


「えー、めちゃくちゃ気になるな水越さん。サイボーグの肩揉みで真っ赤になったと思えば、健気に弁当まで作ってくれるなんて。俺にも作ってくんないかな~」


< 29 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop