ドクター時任は恋愛中毒


「ちょ、ちょっと待ってください? 僕の空耳じゃなければ、今妻って聞こえたような……」

「何か問題あるか」

「いや、大アリですけど。……あなたと真帆ちゃんって、結婚してないですよね?」


苦笑しながら、航河さんが類さんに確認する。

……私も同じことを聞こうと思ってた。ねえ類さん、私たち、いつ結婚したんですか。


「そんなの、まだ正式にしてないというだけだ。いずれするのだから、もはや真帆は妻も同然。そして、他の男とふたりで外出するなど、夫である俺は認めない」


……ちょっと、待ってよ。こないだの“俺たちの子”発言もそうだけど、類さんは大事なステップを無視している。

当然のように私と結婚するつもりだという姿勢は嬉しいけれど、こんな形で意思表示されてしまうのは、なんとなくショックというか、デリカシーがないというか……。


「……あーあ、真帆ちゃんの機嫌損ねちゃいましたよ?」


類さんの発言にもやもやして俯いていると、航河さんが察したように言う。


「なに?」


こちらを振り返った類さんは、私がどうして不機嫌なのか見当もついてないみたいだ。

その困惑顔がさらに私を苛立たせ、つい意地になってしまう。


< 99 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop