漢江のほとりで待ってる
「待って由弦!」
降りしきる雨の中、珉珠は叫んだ。
由弦は振り向かずどんどん歩いて行く。
「お願いだから待って!」
前の時のようにもう見送ったりはしない!と珉珠は必死に由弦に食い下がる。
腕を掴まれた由弦は、強くその手を振り払った。
それでも引き下がらない彼女に、
「何なんだよ!あなたはこの状況を楽しんでるんじゃない!?元々兄貴に興味持ってたんだし!尊敬とか言いながらホントは好きなんだって!その兄貴から言い寄られて、オレからも好意持たれて、はっ!気分いいだろ?あなたは惜しくなったんだよ!どちらも手放せない、選べない!でも結果天秤にかけて、オレといるよりも兄貴の方が、そりゃいいよな!先のこと考えたら、あの高柳グループの後継者なんだし!!オレにはもう何もないから!!」
「そうじゃない!!」
「何が違うの!!じゃ何でさっき何も言わなかったんだよ!俯いたままで、兄貴の言うことに否定だって出来たじゃないか!」
「だからそれは……」
「何!?あなたは余裕だね!オレはあなたの気を引きたくていつも必死なのに、あなたは違う!!いつも涼しい顔して笑ってる。兄貴のことは何だかんだ聞くのに、オレのことは何も聞かない!オレに好きとか言っておきながら、ホントはそうじゃない!オレにだって過去につき合ってた子とかいたり、結婚まで考えた人もいたり……聞いてほしい訳じゃないけど、少しはオレにも興味持ってよ!一体オレはあなたの何!?ただの暇潰しの相手!?」
雨か涙か分からない雫が、由弦の目から伝って落ちる。
「違う!違う!」
珉珠は大きく横に首を振りながら言った。