漢江のほとりで待ってる
「あなたって人は!どうしてあなたが慶太さんの母親なんだろう!少なくとも、純粋に愛し合っていたんだろ!だから慶太さんを生んだんだろ!社長を騙してまで」
「……!!あなた、慶太の父親を知っているの!?答えなさい!」
「さぁどうでしょうかね?でもこれで分かったような気がしますよ!あなたが欲望を捨てない限り、慶太さんの心は楽にはならないし、永遠に報われることはないでしょうね。はっきり言わせて頂きます!あなたが慶太さんの心を負担にさせていたんだ!」
「何ですって!!」
「愛し方を間違っているんですよ!子供は親に、ただ傍にいてほしい、抱き締めてほしい、褒めてほしい、間違っていたら叱ってほしい、それだけでいいんですよ。他は何もいらない。慶太さん、今もずっと苦しんでいますよ」
一条は自分の生い立ちと重ねた。
自分も幼くして母親失くし、父も仕事で忙しく、かまってもらえなかった。だから慶太や由弦の淋しさが痛いほど分かった。
DNAの鑑定結果を公表しないのは、雅羅の母親としての愛を信じたかったから。雅羅の出方を見守ろうと思った。
―――― 私は間違っていない!慶太はずっと優秀だった!笑うことは少なかったけど、それは父親に愛されなかったから!それでも優しい子に育ってくれた。だから私は間違っていない!私が絶対に慶太と高柳グループを守るわ!
雅羅は堅く心に誓った。