漢江のほとりで待ってる
次の日、珉珠は本社へ行き、
「とても残念です……」
一言言うと慶太の前に、退職届を突き付けてそのまま去った。
珉珠の言葉は痛いほど慶太の胸に突き刺さった。
何も言い返す言葉がない、慶太自身も、自分がここにいること自体間違っていると知りながら、雅羅の言いなりの自分に苦しんでいた。
一方で一条は、雅羅に会いに行っていた。
「約束、守ってもらえませんでしたね。自分の考えの甘さに腹が立ちましたよ。あなたは一体何を守っているんですか?体裁?それとも世間体?息子慶太氏を盾にしているだけで、ホントはご自分の欲望のためなのでは?こんなことをしても副社長は幸せになんかならない!むしろあなたの手で彼を苦しめているだけだ!」
「あなたに何が分かると言うの?それに私は何もしていません!慶太も!今回の事故は執事が勝手に一人で起こしたこと!出過ぎた真似をして、こちらも迷惑しているくらいだわ!」
「本気で言ってるんですか?」
「えぇ!」
「誰のためにやったと思ってるんですか!」
「だから何度も言っているように迷惑しかしていませんし、こんなこと頼んでもいません!こんな結果になるくらいなら、はじめから何もせず大人しくしていればいいのに!いつでも肝心な時に役に立たない!」