漢江のほとりで待ってる
夜中、由弦は決まって目を覚ます。
悪夢にうなされ起こされる。
いつも、珉珠がいると思って、目が覚めても寝室から出ることはしなかったが、この日は、珉珠が部屋を出たと思い、あまりの息苦しさに寝室を出て、水を飲もうとした。
蓋を上手く開けられなくて、開けた途端、ペットボトルを落として床に水をばらまいてしまった。
そこへ珉珠が戻って来た。
由弦が寝室にいないことに驚き、慌てて各部屋を探し回った。
「由弦!由弦!どこにいったの!?」
声を荒げる珉珠。
まさかと思い、、キッチンへ行ってみると、隅でうずくまる由弦がいた。
由弦は息が上がっていた。
周りは水浸しだった。
この光景に、珉珠は一瞬声が出なかった。
「だ、大丈夫?由弦?濡れてない?水が欲しいの?」
そう言いながら、新しい水をコップに入れて飲ませた。
由弦の夜中の時間は知らなかった。
眠りについたのを確認すると、珉珠は自分の部屋に帰るようにしていたから。
この日はたまたま、何となくまだ部屋にいた、それが幸いした。
ベッドに連れて行き、一緒に横になり自分の胸元に抱き締めて、由弦が眠るまで髪を撫でながら傍にいた。
ス~っと寝息を立て始めた由弦。
しばらくすると、「う~っ、ハァ~っハァ~っ!」と呼吸困難を起こし、目を覚ました。
「大丈夫!由弦」
「ハァ~、ハァ~」
「あなた、まさかこんな毎晩を過ごしてたの?」
当然夜は、朝まで眠っているものと思っていた珉珠。
「同じ夢にうなされるんだ」
「夢!?どんな?」
「事故当時の夢と溺れてる夢」
「事故のせいでフラッシュバックを起こしてるのね。溺れてる夢はあの時の……眠れないなんて、ひたすら辛い思いをしてたなんて」
珉珠は、由弦を一人に出来ないと思った。
そして背中をさすり、
「大丈夫だから、傍にいるから、落ち着いて?」
由弦の髪を撫でながらそう言った。
するとまた、眠りにつく由弦。
そのまま知らない間に珉珠も眠っていた。