漢江のほとりで待ってる

珉珠は自分の身の回りの整理をするためと、着替えを取りに帰るため、一旦自分の部屋に戻ることにした。

その際、

「由弦も一緒に行かない?」と、散歩がてら、また気分転換にもなると思い、誘ってみた。

悩む由弦に、「ううん、一緒に行きましょう」と強引に連れ出した。

梅雨時期に晴れ渡る空、一目も気にせず、珉珠は由弦の手を握った。

二人で歩く景色を、時間を、噛み締めるように大切に歩いた。

珉珠の部屋に着くと、

「やっと由弦が私の部屋に来てくれた」

珉珠はそう言って、由弦をソファに座らせた。

思っていたより広く、白で統一されたシンプルな部屋。

無駄な物がないように思われ、細かなものもない。

堅苦しいまでではないが、綺麗に整頓されている。清潔感さえ漂っていた。

初めて来た、彼女の部屋を見渡す由弦に、

「ねぇ?由弦、ここで一緒に暮らさない?部屋も空いてる、好きな時に絵だって描いてくれていい。何も制限しない。ホテル代も馬鹿にならないでしょ?私には何も気を使わなくていいから」

返事に困っている由弦。

「ん~、私の傍にいてほしい」

「……」

「私のボディーガードになってほしい」

「ボディーガード!?」

「それなら聞こえよくない?守るために一緒にいるんだ!って」

珉珠の言葉に少し笑った由弦。

「考えとくよ」

「うん。ちゃんと本気で考えて?」

「うん」

「何か飲む?カフェオレ?ミルクティー?」

「ジンジャーエール」

「ジンジャエール!?好きなの?」

「うん」

「はぁ~、私、あなたのこと何も知らないのね。あ、そうだ!」

珉珠は何やら思い付いて、キッチンで何かし始めた。

そして冷蔵庫を確認し、

「あ~炭酸水がない!どうしよっか~」

独り言を言いながら、何か考えていた。

「買ってこようか?」と由弦。

「ほんとに?お願いしていい?大丈夫?」

「うん、炭酸水だけでいいの?」

「うん!それだけでいい。ごめんね?気を付けて行って来て?」

「うん、分かった」

由弦は出掛けて行った。

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