漢江のほとりで待ってる
高柳グループ内で配置転換が行われてから、マーケティング部の間にも変化があった。
同期入社した、仲の良かった宇海と甲斐が、この所よく揉めるようになった。
その宇海は、自分と同期でありながら、甲斐がプロジェクトリーダーになったことが面白くなかった。
考えてみても、入った当初、自分の方が仕事も出来、企画書も何度も出していたのに、なのになぜ!?やっとマジメ!?に仕事をし出した甲斐の企画が通り、プロジェクトリーダーにまでなったのか、自分の企画書は一度も通らなかったのに。
一体、何が違うのか、不満が募る一方の宇海。
それ以来、宇海は、仕事に身が入らず、甲斐にも協力せず、全て甲斐に押し付けて、定時になるとそそくさと帰ってしまう始末。
甲斐に真面目にやれと言われると、
「はん!偉くなったもんだよな!?どうせ今回の企画、男に媚びて手に入れたんだろ!?」
心無い言葉を甲斐に浴びせた宇海に対して、甲斐は、呆れた顔をして、それ以上何も言わなかった。
甲斐一人、忙しく走り回っていた。
それからの宇海は、遅刻して来たり、無断欠勤など、勤務態度も怠慢になり始めた。
課長になった仲里も、はじめは分からず宇海の態度を注意していた。
それでも言うことを聞かない宇海に、頭を抱える仲里。
そんな状況を江南部長はずっと見ていた。
ある時、仲里に、
「私も入った当初、同期がどんどん活躍して出世して行く中、私一人だけ取り残されるような思いがして、自分はずっとこのままなんじゃないかって、不安になったこともあったわ。認められずに、平社員のままで終わるんじゃないかって。特に男社会だから女が出世も遅いのが当然ってとこもあったし、お給料だって、同じ大卒なのに当たり前のように女性の方が低かったのよ?何が違うのかしらって思ったわ~。でも会社なんて何でも上手く理屈ごねて言い訳するのよ。宇海君なんて男だし?卒なくこなす方だから、彼なりにプライドが傷付けられたのかも知れないわね~。当然自分の方が評価は高いと思っていただろうし。あの甲斐さんに追い越されちゃったんだから。でも彼は分かってない、何が違うのかって。私も今だからこそ分かるのよ、それに、甲斐さんを見ていてさらに彼女から教えられた。宇海君は結果しか見てないのね、彼女の努力を分かってない」
江南部長は、自分の過去の経験を話して聞かせた。
その言葉に、仲里は気付かされる。