漢江のほとりで待ってる
「ところで、仲里さんのことは本気?」
「ああ!こんな私が言うのもなんだが、恥を忍んでお前にお願いする、彼女を、仲里君を譲ってくれないか?」
「はっ!譲って!?それは彼女が兄貴に好意を持ってる体で言うんだよ!彼女は兄貴のことを好きだって?」
「いや、努力しろと言われた」
「だろうな!彼女は物じゃない!彼女に言われてもまだ分からないのか?人の気持ちはどうにもならない!兄貴の身勝手な気持ちから、ただ彼女を好きってだけでオレに嫉妬して!?彼女の周りから自分にとって邪魔なものを排除するやり方、人を傷つけてまでもものにするのは違うと思う!そんなやり方はいつまでたっても自分は満たされないし、不安なままだ。オレが邪魔なら、自分の魅力をふんだんにアピールして仲里さんの気を引いて見ろよ!努力して彼女の心を掴んでみろよ!そしたらどんな男が彼女に群がろうと、本当に兄貴が好きなら彼女の目には兄貴しか映らないはずだ。自分が変わらなきゃ、相手も変わらない」
「言い返す言葉がないよ。自分を変えるか……難しい課題だ。お前は仲里君と似ているかもしれない。真っ直ぐな所は特にな」
「そう?」
「ほんとに努力しよう。必ず彼女を振り向かせて見せる」
「楽しみにしてるよ」
「うん。あ~、それはそうと、一度家に顔を出しに来ないか?と言っても?元お前が住んでいたあのアトリエだがな」
「マジで!?よく義母様が承諾したね?」
「今はアトリエでの生活に馴染んでいるよ。我が家も色々あった。マスコミに追い回され、一歩も出歩けなかったり……非難も浴びた。私は有名人だから!?就職活動も一苦労している。押し付けるわけではないが、母上なりに詫びているんだ。お前のことをとても心配している。」
慶太のやつれた顔を見れば、その生活がどんな悲愴なものか伺えた。
「父上も、いつもお前が使っていたと思われる、テーブル、机、そこにある全ての物を、愛おし気に触ってる」
由弦はそれを想像して胸を痛めた。