キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~
急に決まったお泊まりに、ドキドキしながら準備をすることに。

えっと…

洗面道具に…着替えに、パジャマ?

後は………

意味もなく、部屋をグルグルしてたらメールが……

"ヤッホー!
お泊まりに悩んでいる、貴女!!
アドバイスだよ~
大概の物が揃っているから…
着替えと下着。後は、化粧道具でOKだよ。
何にも心配せずに、楽しんでおいで。

…………唯ちゃんの心の友……四人より!"

えっ??

なぜ??

………………………?

よく意味の分からないメールだけど

わざわざメールで教えてくれるってことは

信じて良いんだよね!

メール通り着替えと下着。お化粧道具を用意した。

居間に戻ると、お父さんと先生が何か真剣に話し合っていた。

「用意できたよ」って言うと

「では、お願いします。」

もう一度頭を下げて、玄関に送り出してくれた。

「あっ、お父さん。
………あのね……尋ちゃんの事だけど…」

「明日帰って来るように、言ってくれるか?
"悪かった""謝っていた"と…
今日、お母さんと話し合うことも伝えて
……明日彼氏も連れて来なさいと… 」

「うん。
じゃあ……行ってきます。
お母さん、ガーゼのハンカチ……嬉しかった。
ありがとう。
……………行ってきま~す!」

ドアを閉める時

二人の"行ってらっしゃい"の声が微かに聞こえた。

"行ってきます"に返事があるのって……幸せだよ。

何年ぶりだろう?

たった一言が…こんなにも安心して嬉しいんだね。

明日は

お父さんとお母さん。尋ちゃんと和也さん。

………凄く賑やかになりそう。

『ただいま』って帰る家があるのって…良いなぁ。

車に乗り込んで二人になると

唯の目は…壊れた水道のように涙が止まらなくなった。

「そんなに泣いたら目が溶けてなくなるぞ。」

幼稚園の子供達に言うのと同じ言葉なのに

向けられた目は彼氏のもので…

優しくて頼りになる先生にもっと泣けてしまう。

「はい。」

差し出されたのはガーゼのハンカチ。

「お母さんが、唯は泣き虫なのでお願いしますって持たせてくれた。
ギュッとすればいいって思ってたけど…
車だと出来ないから…助かったね。」

笑いながら頭を撫でてくれる手は、やっぱり優しくて温かい。

ねぇ~先生。

"ありがとう"だけでは表現しきれない気持ちは…

どうやって伝えたら良いの?

先生の家までのドライブは

今まで見たこともない程輝いた景色で

きっと忘れられない思い出になるよ。
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