近づいてよ
「だから、頑張ってたよ」

光は頭をぽりぽり掻きながらボソボソと呟き出した

「来年だろ……25歳……だから金も式の資金やら家買う頭金も貯めた、21から始めた生命保険の受け取り人もお前だよ……おじさんも知ってる、てかおじさんがサインしたし」


「え……」

何を言い出すのかと思えば……

「言ったろ?子どもの頃から好きなんだって、お前しかいらないオレは美空しかいらないんだよ」

突然すぎてついていけない私に光は手を伸ばした

指が長くて綺麗な手

かつて繋いだ時とは違って男性的なその手は
いつの間にかとても大きくなっていた

「ねー美空……近づいてよ、オレの一番近くに来てくれよ」

掠れた声に緊張が見える
グレイの瞳が揺れていてそこに間抜けにもびっくりしている私が写っていた


今まで…

ホントは単純だったのに、全然二人の気持ちと行動が噛み合ってなかった事に今さら気づいて

……情けないやら恥ずかしいやら

そして嬉しいやら……


もう頭の中はぐちゃぐちゃだった


(でも……)

手を伸ばすくせに触れてこない光に

たくさん知らない所で手を差し伸べてくれてたんだなぁと
意を決して光の腰に手を回して抱きついた

「美空?」

「うん……」


(シンプルに気持ちを伝えれば、いいんだよね。きっと )


少し体を離してから背伸びをして唇を押し当てると、光はびっくりしたように目を見開いているから

私は胸に顔を埋めて呟く

「光こそ…近づいてよ、私の一番近くに来て?
…家族よりも傍に来て……」




美空side

おしまい




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