〜starting over〜
シッカリ、ツアーの日程まで記載されてるし。
いいわよ、どーせ私のプライベートなんて撒き餌よっ。
なーにが『10年目の復活愛』よ。
ないわーっ!!
しかも、湊さんもなんなのよ!
忙しいって言いながら、若くて可愛い女優さんと食事する時間はあるのね!
どーせ私なんか、セフレですよ。
ヤリたい時だけの女ですよ!
バカバカバカ!

「ふざけるな—————っ!!」

控室で私の雄たけびとともに、床に週刊誌を投げつけると、ケタケタ奈々が笑った。

「我らが杏と湊さんのWスキャンダルが表紙を飾ってたから思わず買ってしまったぁ」

両手のピースサインをくっつけWを作って私に向けてくる。

「あれ、でも元身内もいるからトリプル?」

なんて首を傾げてて。
私と湊さんの事は誰にも話してないから、単純に真輝とのスキャンダルに腹を立ててると思っている奈々の無邪気は余計気分を逆なでする。
私と湊さんの関係を知らないとはいえ、憎たらしいわっ。

「ほら、いつまでもふざけてないで挨拶行くよ」

マイがメンバーを促す。
今日は生放送の歌番組に出演するんだけど、その番組にWhateverの出演するのだ。
それで楽屋に挨拶に行くんだけど……。

「「「「「「「よろしくお願いします」」」」」」」

全員で挨拶をすると、ドラムのアキラさんが快活よく笑った。

「ひゃ〜、生Muse!可愛いな~。こ~んな可愛い子に囲まれて仕事が出来る湊が羨ましいわ~。俺なんかおっさん集団の中に」
「おまえが1番年くってんだろ」
「バカヤロー。俺の心は永遠の青い春だ」
「さっきハ〇キ〇ーぺ欲しいって言ってなかったか?」
「なっ、おまえ!聞いてなかった?心よ心。肉体は別!」

ベースのノッキさんとのやり取りに楽屋内に笑いが溢れる。
そんな中でも、湊さんだけが相変わらずの不機嫌顔(まあ、愛想のないこと)でそっぽ向いている。
この仲間外れっ子め。
こっちを一瞥もしないなんて、どーせ私の存在なんてその程度なんでしょっ。

「あ、そうそう、杏ちゃ~ん。元カレとより戻すの~?」
「も、戻しません!」

何故かここの部屋にも例の週刊誌があり、それを高々に掲げて、ギターのシュンさんが冷やかすように言ってきたから、つい強い口調で反論してしまい、言った後に「しまった」と口をつぐむ。

「へぇ~、そうなんだ。へぇ~……」

意味深に湊さんに目線を送る。
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