極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
ちょっと体を離してひたいにキスすると「靴脱いでいいかな」と彬良くんが言った。

スーツケースを運ぶ彼に、「コーヒー飲む? それとも先にお風呂いいかな」と声をかける。

「んー、今は日本茶が欲しいな。コーヒーは向こうでさんざん飲んだから」
やっぱり日本のものが恋しくなるな、とつぶやいてどさっとソファに腰を落とす。

お茶を淹れてリビングに戻ると、彬良くんはスーツケースを開けてパッキングを解いていた。
わたしを見ると、小箱を手に立ち上がる。
「そよか、これお土産」と渡してくれる。

「わぁ、いいの」びっくりしながら受け取る。

「開けてみて」

彼にうながされてリボンを解くと、中から出てきたのはアートピースのような真鍮のヘアアクセサリーだった。モダンでちょっと辛口なデザインを繊細な彫金技術で見事に形作っている。

「すっごく素敵!」
歓声が口からこぼれる。

「ニューヨークにソーホーっていう、若手のアーティストやデザイナーが店を構えている地区があるんだ。そこで見つけてきた。さすがに当てずっぽうで探せないから、現地のエディターから情報を仕入れたけど。デザイナーが一つ一つ作ってる一点ものだって」
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