極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
他に帰る場所はない。だから彬良くんのマンションに帰った。
すっかり慣れたはずの室内が、なぜか冷え冷えと感じられる。

あいも変わらず茫然自失の状態が続いている。早退してしまったから、時間はある。いま何時かな・・・そう思っても時計を見る気力もなかった。

彬良くんのために夕飯を・・お弁当の仕込みを・・違う、そんなことじゃない。

———佐伯彬良の口添えがなければ、きみのレベルでうちに採用されるわけないだろ。
———体がゆるくて頭の軽いだけの女の子かと思ったら、

投げつけられた言葉が、三崎英治のいうところのわたしの「軽い頭」を占拠して、そこから逃れられない。

———きみは損得で男と寝れる女なんだろ。

違う! という叫びが吐き気とともに、こみ上げてくる。
昨日まで立っていた大地が、信じていたものが、崩れ去ってしまったような感覚だった。

立っていられない・・・
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