極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
ギィ・・・

ためらいがちにドアが開き、廊下を進んでくる足音。インターホンに応答がないし、室内が真っ暗なのを、いぶかしく思っているんだろう。
感覚器官は機能している。頭はすこし回ってる。でも、体が動かない。

パッと明かりが点いて、室内が照らされまぶしさに反射的にまばたいた。

「そよか!?」
驚愕する彬良くんの声。

「どうしたんだ」
リビングの床にへたり込んでいるわたしを目にして、駆け寄ってくる。

「あきら・・くん?」
のろのろ顔を上げる。
彼が帰ってくるまでには平静を取り戻して、きちんと向き合って、なんて到底無理だった。

「どうして・・ほんとなの・・?」

「そよか、何があった!?」

彬良くんがかがみこんで、支離滅裂な単語を力なくつぶやくわたしの肩を抱き、顔をのぞきこむ。

「わたし・・だって、この仕事・・」

「そよか・・・」
焦りのにじむ彼の声。その目にあるのは、混乱と不安だ。

彬良くんでも混乱することがあるんだ・・・妙なところで感心してしまった。
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