極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
彼が手にした丸皿に乗っている料理は・・・

「それ・・・」

「スパゲッティピザ。おばさん直伝」

例によって、うちの母の創作節約レシピで、残ったスパゲッティをピザにしてしまうというものだ。
スパゲッティの余りを、ボウルで卵液とからめてフライパンに平たく伸ばしてカリッと焼く。仕上げにチーズをまぶしてオーブンで焦げ目がつくまで焼けば完成だ。

「時々おやつに作ってもらったやつ。美味いし、スパゲッティでピザを作るっていう発想も面白いし、作り方を聞いたんだ。一人暮らしするようになってから、たまに自分でも作るようになった」

自然と手が伸びた。子どもの頃そうしていたみたいに、手づかみで一切れお皿から取ってかじる。

「これはやっぱり手で食べるのが正解だよな、ピザだし」
彬良くんもわたしの隣に腰をおろして、ピザをほおばる。

「美味しい」
「よかった」

温かいミルクティーと懐かしいお母さんの味、そこにこめられた彼の思いやりに、ようやくわたしの心は落ち着きを取り戻しはじめた。
< 123 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop